第26回

ヘン・キムソン(王 錦松)画 高文研
1999年 本体1500円
時事漫画あるいは風刺漫画といえるこの本は、シンガポールの漫画家の作品です。アジアの国から見た日本は、経済大国日本、そしていまだに戦争責任を明確にしない国というイメージがほとんどなんだなと改めて思い知らされました。さらに、アジアのほかの国々、アメリカ、国連と世界中のさまざまな国地域の抱える問題を捉え、実に巧みに簡潔に一枚の漫画に仕上げている。漫画なら世界中の人にダイレクトにメッセージを伝えることが出来る。単に面白いだけでなく、日本から見るのと違った角度から世界を見るということが出来るいい機会を与えてくれる作品です。

岡田光世著 岩波新書
2000年 本体660円
代理母による出産、インターネットによる養子の斡旋、結婚する夫婦の半数以上が経験する離婚と再婚、ゲイ・カップルと養子・・・。親子、夫婦、兄弟姉妹といった、単純な言葉が表す「現実」は、今やアメリカにおいては驚くほど多様になっている。人は「家族」に何を求めているのか、人の心身の発達や性格形成において、「血のつながり」や「遺伝子」といったものは、どこまで意味を持つのだろうかetc.思わず考えこんでしまった1冊である。

意識の進化とDNA 柳澤桂子著 集英社文庫
2000年 本体514円
「いのち」がわかる生命科学の入門書、というオビの文字につられて買った。著者は生命科学者で、遺伝子と心の仕組みをわかりやすく解説したかった様子。DNAと意識の関係は新鮮でおもしろかったが、それが男女の出会いを絡ませて小説として描かれているので読みにくい。ストーリーを追いたい気持ちと生命科学を理解するために熟読しなくてはという思いが交錯して結局消化不良。科学入門書に徹してほしかったな。

別冊宝島 1998年 本体933円
戦後日本で実際におきた650の殺人事件を動機別に編集している。「事実は小説より奇なり」。人間とは他人には伺い知れないようなことで、キレて殺人をおかすものだと感心してしまった。凶悪犯罪の低年齢化などといわれているけど、この本をみると昔からあるわあるわ。例えば、「女の子の裸みたいと」小6生、6歳の幼児殺害。驚きますよね。不謹慎だけど小説ネタの宝庫。

モハンティ三智江著 双葉社
2000年 本体1500円
著者は26歳の時初めてインドに出かけ、その印象が余りにも強烈で、すっかりインドに魅了されてしまう。その後、お金と時間を作ってはインドにでかけ、インド人男性の押しかけ女房となり、持ち前の好奇心と行動力で、ついにはインドでホテル経営者として成功する。読んでいて、いいぞいいぞと思わずにんまりしてしまうほど、痛快で楽しい物語です。確かに、暑くて不便で何事にも時間と我慢が強いられるインドで、おまけにしたたかな人たちが相手では、実は大変な苦労があったと思われるが、そんなことは表に出さず、ひたすら前進あるのみとばかり突き進む著者のバイタリティーが読者にも乗り移って、よしわたしも頑張ってみるかなんて思ってしまいます。後半は日本人である著者が見たインドがさまざまなテーマで書かれていて、それもまた興味深くて、面白い。インドに興味のある人はもちろん、ちょっと元気がない人、もやもやしている人、是非一読してください。きっとすかっとしますよ。

野口 健著 集英社
1999年 本体1400円
世界最年少で、七大陸最高峰登頂を達成した野口氏の、現在に至るまでの自伝的登頂記。高校生の頃に、山に登り始めたエピソードが印象的。山によって成長してゆく野口氏の姿もやはり印象的だ。溢れ出るパワーを山にぶつけて、自分なりに消化している様に、「山という道を見つけてよかったなぁ野口君」と感じずにはいられない。

赤瀬川原平・熊瀬川紀著 新潮社
1991年 本体1600円
私が買ったこの本は、1991年に発行されてからすでに14刷を数えているらしい。中には、正当なルーブル美術館案内と勘違いして、買ってしまった人もいるのではないかと思う。そういう人は、やめた方がいい。それより「ルーブル」と聞いて、まず「疲れ」が蘇ってくる人にお勧めだ。あの人混みや、迷路のようなやたらと広い館内、これでもかという位の膨大な収蔵品・・・。美術館の床の模様比べや、いろんなカタチのマンホール、画家のサイン探しなんてしている余裕はなかった。また、行かなければ、と思った。

朝日新聞社会部編 朝日新聞社
1998年 本体600円
こちらは、いわゆる不慮の死を8つのカテゴリーに分けて編集している。実に様々な死因があり普通の死というのは何なのか考えさせられる。「人は病気で死ぬのではなく、もって生まれた寿命で死ぬ」というのを聞いたことがあるが、そう思わなかったらあまりにも理不尽な死がある。だれでも、いつでも、突然選ばれたように死ぬ時があるということを忘れずに今日を生きなければ!

北村 薫著 新潮社
1999年 本体1400円
短編集の主人公は、すべて作家のママと3年生のさきちゃん。二人のやりとりが愉快で、ほのぼのとした気持ちにさせてくれる。さきちゃんがママにお話をせがむと、ママはとんでもない作り話をしてくれたり。友達みたいだけど、どこかしら親子らしさを残して描かれている、それがまたストリーに味わいを出していて良いのよー。

海の向こうで暮らしてみれば 完全版テレビ番組製作スタッフ編 双葉文庫
1998年 本体581円
海外で暮らしている33人の女性の暮らしが紹介されている。カメラマン、ダンサーなどの芸術系、国連勤務、パイロットなどのキャリア系、その他ボランティアなど職種はいろいろ。しかし、ある程度共通するのは、日本にいる時もデキル奴だっただろうということ。しかし、経済的に苦しい人が多いのも事実。それでも、楽しんで暮らしている様子が伝わってきて気持ちいい。