第37回 (2002.01)

笑う運転手〜ウエちゃんのナニワタクシー日記

植上 由雄著 本の雑誌社
2001年 1600円(本体)

 「本の雑誌」投稿欄の常連、ウエちゃんの毎日が本になりました。タクシー運転手である著者が見た、大阪の日常が笑いと人情満載で綴られています。大阪の底力と、ウエちゃんの暖か愉快な人柄がいい感じ。読んだらウエちゃんのタクシーに乗りたくなるよ。

 

トイレのお仕事〜ニューヨーク・トイレ再生物語

松永 はつ子著 集英社新書 
2000年 680円(本体)

 経理の事務員が、知人に頼まれて幼稚園のトイレに絵を描いたのが人生の転機になった。壁画デザイナーって仕事があるとは知らなかった。人生っていろいろあるもんだ。続いて、臭くて汚い国鉄駅のトイレに絵を描いて評判になる。そしてとうとうニューヨーク水族館トイレの壁画製作へ。著者の驚くべき熱意と逞しさには脱帽する。でも、壁画を描いたトイレでは、使用する人のマナーもよくなるのだとか。

 

ラ・ヴィタ・イタリアーナ

坂東 眞砂子著 集英社文庫
2001年 495円(本体)

 著者がイタリアに住んで経験した出来事や人々の暮らしぶりをエッセイにしたもの。最近よく見かける少し浮かれた感じの旅行記に少々疲れを覚える者にとっては、著者ならではの落ち着いた筆使いが心地よい。「恐るべしイタリア人!」、と思わせられる、手続きや交通法規にまつわる話は期待(?)どおり。だが、それにとどまらず、人生を謳歌しているというイメージとは違う、私たちの知らないイタリアの人々の素顔が見える。

 

東方見便録

斉藤 政喜文 内澤 旬子イラスト 文芸春秋社
2001年 600円(本体)

 排泄文化(なんて言葉があるのかな?)から、その国の社会構造や民族性を考察すると著者が書いているところになかなか鋭いところをついてるなと感心して、手にとって読み始めたら面白くて面白くてすっかり一気読みしてしまった。特に気に入ったのが、インドのマハラジャのトイレ。そのスケールの大きさと贅沢さにはすっかり圧倒されてしまったが、国が国だけに多少眉唾ものかななんて思いながら。とにかく文章もイラストも面白くて、アジアを知る上での貴重な知識を与えてくれるお勧めの一冊です。

 

極北に駆ける

植村 直己著 文春文庫
1977年 419円(本体)

 5大陸最高峰の単独登山を達成し、次に目指すのは夢の南極横断。そのためには、極地気候への順化能力と犬橇技術の会得が必要と悟った著者は、グリーンランド最北端のエスキモー部落で生活することにした。そうして、知り合いもないまま、言葉も習慣も違う部落へ入っていく。純朴な人柄で信頼を得て、土地の暮らしにも慣れていく。そして犬橇の訓練を始め、とうとうエスキモーですら不可能だといわれる長距離ツアーを一人で成し遂げる。とにかくこの人はすごい。適応力と意志の強さに感服。

 

蛇を踏む 

川上 弘美著
文藝春秋 1996年 本体971円

 正直に言って読んでいる間中気持ちが悪かった。蛇を踏んでしまってから始まる蛇との共同生活。その描写がいやにリアリティがあって気味が悪い。読むのをやめようやめようと思いながら、とうとう最後まで読んでしまった。蛇のように体温が低いが、高い質感のある小説。芥川賞受賞作。

 

オーロラ AURORA

門脇 久芳著 情報センター出版局
1990年 2718円+税

 北欧ラップランドの生活とオーロラの写真が満載の写真集。それぞれの写真に添えられている文章も、キャプションにとどまらず、ラップランドの魅力を余す所無く書き表している。そしてなによりも門脇氏の現地での体験がドラマティックだ。

 

アジアの楽園ビーチ&ホテル

増島 実著・写真 PARCO出版 
2000年 1900円

 世界同時テロ事件以来急激に冷え込んだ日本人の海外旅行件数。行きたいけれど怖くていけない人、周りを気にして行きたくても踏み切れない人、たくさんいるんでしょうね。そんな人にお勧めの1冊です。本の中でのんびりとビーチリゾート楽しみませんか?澄み切った海、ゆったりと流れる時間、すばらしい設備のホテル見ているだけで心身ともにリフレッシュされてきます。こんな気分転換もたまにはいいものですよね。

 

世界は「使われなかった人生」であふれてる

沢木 耕太郎著 暮しの手帖社
2001年 1300円(本体)

 著者が「暮しの手帖」に書いた映画評の中から30編を選び、それぞれの前後に映画にまつわるエッセイを加えたもの。映画紹介のための映画評というより、沢木耕太郎という人がその映画をどう観たかが書かれていて、同じ映画に対する自分の見方との相違点や共通点を発見する面白さがあった。目次(エッセイの題名)からはどんな映画が取りあげられているか分からないが、それも読み進む一つの楽しみになるだろう。

 

 

 

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