第44回(2003年1月)

色のない空-虐殺と差別を超えて-

久郷ポンナレット 著  春秋社
2001年  1700円

 ポルポト派支配に翻弄され、非人道的な扱いを受けた女性の半生。カンボジア内戦については報道などで知っているつもりだった。それは、政治的な角度からのものでしかなかった。普通の国民がこんなめにあっていたなんて。私たちが学習塾に通い、アイドルに熱を上げていたあの時代に、著者がおかれていた地獄ような現実。同世代なだけに、衝撃が強い。平和って、脆いものなんだな。

 

モロッコで断食 上・下

たかのてるこ著 幻冬舎
2002年 各巻1500円(税別)

 映画好きの著者が卒業旅行の行き先に選んだのは「シェルタリング・スカイ」の舞台モロッコ。大阪出身で色気無しお笑い系の彼女は、どこへいってもすぐに友だちができる。モロッコでも試しに断食をやってみると、土地の人たちとぐっとお近づきになれた。危険なことはしない理性がありながら、チャレンジは恐れない。失敗したり悩んだり恋をしたり、青春の一人旅っていいねーと思ってしまった。とにかくおもろい人です。読み出すと途中で手放せなくなる本。

  

タイ語でタイ化

下川 裕治著 双葉社
2002年 457円

 タイ文字って見たことありますか?知識のない私には記号の羅列にしか見えません。発音も相当難しいみたいです。でも実際耳で聞くと意味はまったくわからないのですが、柔らかでのんびりとした感じがします。いくつかの言葉をキーワードにして書かれたエッセイですが、タイの人たちの考え方生活の一端が垣間見れてなかなか楽しいですよ。言葉は生きものとよく言われますが、辞書にない生きた使い方がいろいろあるんだと改めて思いました。

 

宴のあと

三島由紀夫 新潮文庫
1969年 本体400円

 

 

 

北極点グリーンランド単独行

植村直己 著 文春文庫
1982年 438円(税別)

 北極点を目指し、2ヶ月をかけて北極海を犬橇でわたっていく。通信機器などの発達で便利になったが、乱氷帯の旅に安全の保障はない。犬が力を出し切れるかどうかに運命がかかっている。はじめは厳しく怒鳴るだけだった著者も、次第に犬たちと心を通わせていく。遠い妻を思う気持ちが支えになっているのか、命がけの冒険ではあるが、過去の文章に比べると、慎重さと優しさが強く感じられた。

 

死をどう生きたか

日野原重明 著 中央公論新社
2002年9月 本体1200円

 1911年生まれの筆者が45年間の臨床医生活のなかで出会った心に残った、死にゆく患者さんについてつづっている。今、日野原先生が大人気だがこの本を読んでわかるような気がする。先生の治療の腕についてはこの本からはもちろんわからないが、死に直面している患者には、薬の治療ではなく言葉での治療がほしいのだ。先生がかなり昔から望む患者さんには告知をし、なるべく家で過ごせるように努力された姿勢に感銘をうける。この本はお医者さんに読んでもらいたい。

 

日本遺産NO.03 屋久島

朝日新聞社
2002年 本体533円

 屋久島の気候や植生などが写真や図とともにコンパクトにまとめられていて、屋久島の輪郭を辿るのにオススメの本。一度でもあの原生林を目の当たりにした人間には、どんな写真も文章も物足らないのは仕方がない。長い長い年月をかけて姿を変えていく自然の営みに改めて頭が下がる思いがする。

 

樹上のゆりかご

荻原 規子 著 理論社
2002年  1500円

  物語の舞台になっている高校があまりにも私の通っていた高校に似ていた。程度の違いこそあれ、進学校で、制服がなく、生徒自治を重んじ、河川敷で学校行事の練習をする。いや、そんなシチュエーションだけでなく、主人公が感じている学校での自分の存在価値。当時、私の心のすみに潜んでいたナニカを言い当てているような。富田林高校の皆さん読んでみて!って、極めて局地的な呼びかけですが…

 

上海歴史ガイドマップ

木之内 誠 編 著 大修館書店
1999年 3000円

 上海に行こうと思い立って、本やガイドブックをいろいろとあたりました。最近はテレビ番組や雑誌などでもよく取り上げられているので最新情報を知ることも容易でした。しかし、上海の歴史をたどりながら街を歩きたいと思っていた私にぴったりのものがなかなか見つからなくて探していたときに、偶然図書館でこの本を見つけました。過去と現在を重ね合わせながら上海という大都市を見るにはまさしくうってつけの一冊です。これから訪れようと思っている人には必見ですよ!

 

死に方のコツ  

高柳 和江 著 小学館文庫
2002年 本体476円

 一言で言えば、死ぬまでいかに生きるかを101の短い文章で綴った本。「死ぬ」まで「生きる」−言ってしまえばあたりまえのことだが、それは自分や大切な人の「死」を受容してこそできること。現代の医療のあり方や「死」に対する人々の誤解や思いこみがそれをできにくくしているのでは、というのが著者の持論。医療関係者にも是非とも読んで欲しい本。

 

海馬ー脳は疲れない

池谷 裕二/糸井 重里 著 朝日出版社
2002年 本体1700円

 

  

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