第47回(2003年5月)

ピーコ 著 糸井重里 聞き手 日経BP
2001年 1300円
オカマの伝記!というだけで激しく惹かれるものがありますが、ピーコさんがあまりにも普通の人なので、それがかえっておもしろかった。癌による眼球摘出のくだりは、淡々としていて、真実味あふれていました。男とか女とかオカマとかその区別のしかたや意味がわからなくなるミラクルピーコワールド!

ふたたびの旅。グレゴリ青山 著 メディアファクトリー
2002年 950円(本体)
知らない国を訪ねるのは刺激的だけど、同じところにくり返し行くのも違った楽しみがあるもの。町の変貌を観察したり、以前知り合った人たちと再会したり・・。著者はめちゃくちゃな英語をつかって、軽々と友だちをつくっていく。人と知り合う才能があるんだろうなー。この人の描くヘンなマンガって、不思議とはまってしまいそう。

山本文緒 著 幻冬舎
2002年 1600円
直木賞を受賞した山本文緒さんの受賞後第一作。31歳という年齢で切り取った女性たち31人の生き方を描いている。『車、初恋、旅、手紙、ボランティア、仕事、家族』と軽いことから重いことまで、大切なことっていろいろあるけど、その中でも一番は何か。自分の「ファースト・プライオリティー」について考えさせられる。

こじれない人間関係のおけいこ八巻香織 著 ティーンズポスト編 ビクターブックス
2002年 1238円(本体)
癒し本って流行りだけど、全くピンとこない。一時的にホッとする人もいるかもしれないけど、ごまかしって感じがする。だけど、この本はいい。猫みたいな犬 のキャラクター「クロ」といっしょに楽しみながら、自分の気持ちと行動を考えていく。はっ!としたり、うるうるしたりするけれど、最後はすっきりうれしい気持ち。

宮城まり子 著 文春文庫
2003年 本体638円
「淳之介さん」とは、今は亡き吉行淳之介さんのこと。2人の出会いから吉行さんを見送るまでの37年間−その時々の情景や著者の心の動きがつい昨日のことのように描かれている。神経の研ぎ澄まされた者同士の共同生活は傷つけあうことも多かったと思うのに、やっぱり好きで仕方がない、そんな想いがあふれている。傷だらけの愛、唄の題名のような言葉を思い浮かべてしまった。

沢木 耕太郎 著 文芸春秋
2002年 1200円
イルカっていうから海洋ものかと思うでしょ。まあイルカも一瞬出てくるけど、アマゾン原住民を守る活動家が当初のテーマで、後半はなんと沢木氏が乗ったセスナの墜落事故記!後半の文体がクール沢木はどこへやら、ホットなあなたも可愛くていいわね。

佐々木千賀子 著 ポプラ社
2003年 本体1500円
立花隆さんの秘書採用試験に合格するのだから、ただものではないだろうと思っていたが、予感は的中。「日記」という言葉に惑わされるなかれ。田中角栄死去、阪神大震災、オウム真理教事件といった社会的大事件もうまく折り込まれていて読ませる。もちろん、立花さんの素顔が垣間見えるのも面白い。最後は秘書を辞めることになってしまうのだが、その部分はちょっと後味がよくなかったかな。

田村志津枝 著 晶文社
1992年 本体1845円
映画「悲情城市」が発表されたのは1989年。台湾で40年来施行されていた戒厳令が解除された2年後だった。2・28事件をはさんだ1945年から1949年の間のある台湾人の家族の話を扱ったこの映画は、台湾での公開は無理だろうという声もあったという。映画の中で使われた「幌馬車の唄」を一つのキーにして、著者はこの時代を生きた、またその後を受け継いだ台湾の人々の様々な想いに触れていく。「悲情城市」という言葉が胸に染みる。