
米原万里 著 角川書店
2001年 1400円
60年代に思春期をプラハのソビエト学校で過ごした著者が、80年代後半、ソビエト連邦解体や内戦にゆれた各国に住むかつての級友を訪ねる3話構成の私小説。”共産主義に身を置きながら、個人の思惑や体制の変動がそれぞれの人生を思わぬ方向に向かわせていた”というあたりが読ませます。共産主義バリバリ時代のソビエト学校の様子も、友人たちの現在の生き様もドラマティックなのよ!

大阪娘、地球に迷うわかぎえふ著
えい出版社 2002年 1400円(本体)
この人は、お金をかけずに楽しむ方法を知っていると思う。海外の日本料理店に入っては不思議メニューをチェックし、新婚カップルだらけの団体旅行に加わっては夫婦喧嘩を見て楽しみ、といった具合。文章の乱れがやや気になるが、観察眼が冴えていてテンポもいいので、軽く読むにはグッド。

日本人をやめる方法 杉本良夫著
ちくま文庫 1993年 640円(本体)
著者は30年前に日本脱出して、現在はオーストラリアで社会学者として生活している。「脱日本」や「国際化」について社会学的視点で多面的に書かれていて、自分のありようについて考えるヒントになる。海外移住の体験談だけでは物足りなくなっていた私にとっては、 新鮮でおもしろかった。 「日本人をやめたい」と思ったことのある人は、ぜひご一読を。

中田薫 著 二見書房
2002年11月 1800円
日本各地にある廃墟の突撃取材本。「形あるものはいつかは壊れる」とはいえ、見捨てられてしまった建造物がこんなにあるとは驚きだ。一度は人に夢を与えてくれた建物が、廃墟になるまでにはどんなドラマがあったのだろうか。「消えゆくものの美」というか、アートな廃墟があったり、いわくつきのコワイ廃墟があったり。サナトリウムの廃墟は、かなしくも美しい。

米原万里 著 文藝春秋
2002年4月 1524円
食べることが人一倍好きな米原さんは、人間を「生きるために食べる」タイプと「食べるために生きる」タイプに分ける。著者は当然、後者。もちろん私も。
子供のころに長く外国暮らし、現在もロシア語通訳として活躍している著者がとっておきの食べ物のお話を聞かせてくれる。「食べるために生きる」タイプの人におすすめ。

小関智弘 2002年
講談社現代新書 本体700円
小関氏は羽田の町工場の旋盤工であった。もちろんプロの作家であるが、作家とうい肩書きの前に必ず「旋盤工」と入れることにこだわっている。この本には、自分をかけて真剣に仕事をする「粋な仕事人」たちがたくさん登場する。どんな仕事でも自分の仕事に臨む姿勢によって、仕事は面白くもなり、苦痛にもなる。私自身の仕事に対する姿勢も考えなおさせられた。私も斜にかまえることなく素直に、「働くことは生きること」といえるようになりたいな。

サボテンとハリネズミ トゲトゲ日記落合恵子著
清流出版 2002年 1600円(本体)
だれだって、ひどい経験や許し難い出来事はあるもの。その時々に、流さないでちゃんと異義申し立てしていくけれど、自分に栄養を与える時間もきちんと確保している著者の生き方が清清しい。素直にかっこいい!と思う。やっぱり落合さんって好きだなー。

白洲 正子著
新潮文庫 1998年 本体438円
青山二郎、小林秀雄、梅原龍三郎、洲之内徹、白洲次郎・・・。自分の思う道をとこ
とん追求し、独自の世界を築き上げた人々。著者も含め、個人個人に大きな魅力があ
るのはもちろんだが、その人々が出会い、ぶつかりあう様は、見ている者が息苦しくなるほどの緊張感と刺激に満ちている。そんな場面に立ち会ってきた著者が正直うらやましいと思ってしまった。

鎌田 實 著 集英社
2000年 1600円
鎌田氏自身が考える医師のあるべき姿は、ヒューマニズムに溢れている。それだけに患者自身に、考え判断する力が求められているように思う。健康であるときも、病を得てからもどう生きるか。病状も人生の一部として受け止めることは、患者にとってこれまでの人生とこれからの人生を見つめ直すことに直結しているはず。鎌田氏の医師としての活動と、たくさんの患者の死の周辺は、読むにつれ心がゆれる。人は強いけれども儚い。

星野 道夫著
小学館文庫 2003年 本体800円
星野さんの写真と文章は、自然や動物、そして人間に対する慈しみに溢れている。それは、何か月も何年もかけて自然の営みに立ち会い、また人間の生の喜びや悲しみに幾度も触れる中で醸成されたもののように思う。この本は既に発表された作品を編纂し直したもので、初めてのものではないのに、ページをめくるたびにやっぱり心を打たれる。星野さんは自然の一部に還っていったんだと思う。

中村 優子著 JTB
2003年 1600円
SARSのおかげで海外旅行者激減でアジアもなかなか行きにくい状況になってますよね。
一応終息宣言が出されたのでほっと一息ですが、まだ行くのはちょっとと思ってる方、多いと思います。そんな人達にお勧めします。とりあえず最初から最後までアジアワールドで満載です。こんなおもしろいものがあったのかと改めて実感しました。本当に笑えてしまいますよ!
蔵前 仁一著 旅行人
2003年 1600円
「ゴーゴーアジア」の初版本が出たのが1988年。やっとアジアの旅が認知され、バックパッカーと呼ばれる人達が出現した頃で、今から思うと隔世の感があります。中国・インドもすざまじい速度で経済発展し、その他のアジア諸国もずいぶん様変わりしました。でも根っこの部分は変わってないような気がしていた私にとってこの本は、ああやっぱりそうだったんだと改めて思わせてくれました。アジアに興味を持っている人、初版本は読んだけれどという人、今から旅立とうという人に読んでもらえたらと思います。20年間で変わったものと変わらないものが対比された形でおもしろいですよ。