第49回(2003年10月)

オランダ暮らし十二ヶ月

ジャネット・あかね・シャボット著 平凡社
1995年 1500円

 オランダの普通の暮らしが意外に愉快。よく言えば、生活上手。角度を変えてみれば、しまりやって感じ。それでも社会的な成熟度はかなり大人の国だな。住居に心血注いで、大掛かりな改装や手入れを自分たちでする様子は、楽しそ〜。って人ごとだから? 私には、しっくりきますオランダ気質。

 

自負と偏見

オースティン著 中野好夫訳 新潮文庫
1997年 781円(本体)

 イギリス小説史上最高の傑作という誉れ高い作品だけあって、600頁もの大作だが読むのが苦にならない。200年ほど前に書かれているので、身分による差別や厳しい貞操観念などには驚く。中流家庭の姉妹と身分が高く裕福な「青年紳士」二人の恋愛を描いている。会話を多用することによって登場人物がいきいきと描かれており、芝居を見ているよう。

 

うるさい日本の私

中島義道 著 新潮文庫
1999年 本体438円

 まったく、日本人は音に寛容というか無関心というか、街中騒音にあふれていると私も常々思っていた。駅、交差点、デパート、レストラン・・・。脳がおかしくなりそうで一時も我慢できないときがある。気弱な私は抗議する勇気もないが、戦う教授はいちいち論戦を挑む。「うるさい日本」の私か、うるさい(日本の)私か、判断に苦しむほど、教授はうるさい。こういう人もいると思うと勇気がわいてくる。

 

ガセネッタ&シモネッタ

米原万里 著 文藝春秋
2000年 本体1524円

 ロシア語の会議通訳者であり作家である米原さんは、当たり前かもしれないが言葉に敏感である。駄洒落は音遊びにポイントがあることから、他国の言語では通用しない。逆に普遍的に通用することは、なんと「シモネタ」らしい。怒った時に使う、「クソ!」は、だいたいどの国でも「糞」にあたる言葉というのは面白い。言語というのは、人間の本質に違いがないということを教えてくれる。


緑の迷宮〜マヤ文明・ユカタン半島幻想紀行

夢枕 獏著 小池書院(道草文庫)
1996年 640円

 特別番組のレポーターとして 、著者がメキシコとグアテマラを旅したときの日記と手紙文を集めただけの安易な本。セスナに乗って、ジャングルに覆われた遺跡を上空から眺めたり、現地人の案内でジャングルをテント泊しながら移動したりというように、普通の(貧乏な)個人旅行者には不可能な、お金や人手をふんだんに使った旅だ。旅行用の本の選び方がおもしろい。現地で出会ったマヤ遺跡の発掘をしている日本人青年がいいかんじ。

 

パリと七つの美術館

星野 知 子 著 集英社新書
2002年 本体950円

 著者がパリで美術館を訪れるのは、「作品を見るためだけではなく、その前と後の時間が好きだから」だという。フルコースの料理に例えれば、街並みを眺め、美術館までの道を歩く、それが前菜。その後のスープは、美術館の建物鑑賞。そして、メインディッシュが作品。デザートとコーヒーは美術館を出た後の余韻を楽しむことを許してくれるパリという街−−−。うまく言い当てていると感心。この本を読んで、また無性にパリに行きたくなってしまった。

 

花のような女(ヒト)

大田垣晴子著 講談社
2000年 1200円

 四季折々の花からイメージを広げた、女性観察(こんなコトバあり?)記。そうなのよ、儚く美しく見える花ほど、繁殖力すごかったりするように、弱々しくみえる女の子ほどなにかにつけてたくましかったりするのよね。シニカルな視点と、観察力がイッツア大田垣ワールド。さて、あなたは自分をどんな花に例えます?。色

 

人体再生

立花 隆 著 中公文庫
2003年 本体857円

 失われた体の一部や臓器を、本人の細胞を取って増殖、再生させ、それを本人に移植することによって修復する、そんな再生医学(ティッシュー・エンジニアリング)の現状をわかりやすく伝えてくれるのがこの本。医学と工学分野の研究者が手を携えて未知の領域に取り組み、その技術を臨床応用可能なまでにしていく過程が興味深いだけでなく、人体がいかに精緻にできているかに改めて感動を覚える。こんな領域があることをもっと早く知っていれば、と思う。

 

見て読んで旅するインド

ダイヤモンド・ビッグ社
2003年 1640円

 単なる旅行ガイドと思いきや、各テーマごとに読み応えがあって、旅行者はもちろんそうでない人にも読み物として楽しめます。宗教・映画・書物・音楽・料理・雑貨などのテーマがあり、自分の好きなテーマから読んでも楽しいと思います。日本語字幕で見られるインド映画の紹介や文学作品も写真入りで紹介されています。私もこの本の中で興味のあったテーマをこれから深められたら楽しいだろうなと思っています。

 

 

もの知りバックパッカーになる事典

シミズ ヒロシ著 NHK出版
2002年 1300円

 バックパッカーと言っても筋金入りではなく、どんなスタイルで旅する人にも役に立つ一冊です。事典形式でアルファベット順で書かれていて、興味のあるところから読むも良し、最初から読み物として楽しんでも、もちろんいいですよ。マンガありイラストありで楽しみながら旅行通になれますよ。


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