第59回(2005年3月)

パリからのおいしい旅

戸塚真弓 著 講談社
1997年 524円色

パリ在住の著者がフランスを旅して、各章ごとに各地の郷土料理や特産ワインを次々と紹介してくれる。フランスの歴史や風土も織り交ぜながらの“プチ旅”エッセイ集。内容はかなり濃くその表現力も秀逸!これを読むと、美味しそうなものは間違いなく食べたくなるし、ワインも必ずも飲みたくなる(飲み比べたくなる)。そしてなによりも、ハイソなのにひけらかしている感じが全くしない知的な文章に、お人柄がしのばれてすっかりファンになりました。



ゆっくりさよならをとなえる

川上 弘美 著
新潮文庫 2004年 本体400円

何気ない日常や様々な本にまつわる話を、つぶやくように記した川上弘美さんのエッセイ集。1日は誰も同じ24時間のはずなのに、彼女の周りだけ特別にゆっくりと時が流れているような空気感がある。読んでいるうちに、自分もその中に包み込まれて何だか幸せな気分になる。また読み返したいと思える一冊。



精神科に行こう

大原広軌 著 藤臣柊子 マンガ
文春文庫 2002年 552円(本体)

パニックディスオーダーとうつを経験した二人による「脳ミソ系」病気の体験談。催眠療法からクスリ、精神科まで体験者が語る事実。薬の効用や病院の費用など、役立つ情報もあり。クスリや精神科には偏見からくる恐怖心があったりするけれど、ためらわずに利用しようと勧めている。けっこう辛い毎日を送っている人は、ぜひ読んでほしい。



パリを歩こう

こぐれひでこ 著
東京書籍 1996年 1456円(本体)

 永年パリと日本を行き来し、パリにもご自宅を持つこぐれさんならではのエッセー集。「パリを歩こう」といっても、パリの観光案内ではない。パリという街に育まれた人たちを通して、フランスという社会を垣間見せてくれる。様々な制度はかなり日本と異なっていて面白い。パリの人々の大らかさというかいい加減さというか、これは大阪人とちょっと似ている。



東京するめクラブ地球のはぐれ方

村上 春樹著 吉本 由美著 都築 響一著
2004年 文芸春秋 2000円

三人それぞれが自分の面白いと思ったところを文章にしていて味があっておもしろい。東京するめクラブなんて面白いネーミングだが、読んでみてなるほどするめとはぴったりだと妙な関心をしてしまった。特にホノルルマラソンについて書かれた文章が面白くてうなってしまった。特別な旅をしなくても十分楽しめる方法が見つかります

 


住まなきゃわからない沖縄

仲村 清司 著
新潮文庫 2004年 本体590円

「沖縄病」というのがあるらしい。著者曰く、「沖縄に旅行に来た人たちが沖縄の魅力にとりつかれ、寝ても覚めても沖縄のことばかり考えるようになるビョーキ。」だそうだ。その重症「沖縄病」だった配偶者に突如沖縄移住を宣言され、著者が不承不承東京から沖縄に移り住んでから、だんだん沖縄という土地になじんでいくまでのお話。元々が「不承不承」の移住だから、文章は軽いタッチながら、なかなか冷静に観察されていて面白い。やっぱり「住まなきゃわからない」ことって、結構あるんだ。

 

スーパーマーケットマニア ヨーロッパ編

森井ユカ 著 講談社
2004年 1800円

イギリス、フランス、ドイツ 北欧のスーパーマーケットを訪ね歩き、スーパー毎の特色やオリジナリティを、洗練された写真とレイアウトで一冊の本にまとめたもの。買い物カートのデザインを各国各店で比べてみたり、オリジナル商品のデザイン性の高さに感心したりと、その目線は果てしなく広く楽しい。外国を旅すると必ずスーパーに行く私にとってはたまらん一冊。ヨーロッパ編の続きはどんなのがでるんですか〜?ほんで「東京12チャンネル育ち」って何ですの?


精神道入門

小栗左多里 著
幻冬舎 2004年 1200円(本体)

今よりちょっと幸せになるために「修行」をしてみようと思い立った著者。それで体験したのが、瞑想、写経、座禅、断食などなど。どれをやっても、ついあれこれ観察する癖がでて雑念から逃れられない。しかも辛かったり苦しいだけで解脱は得られない。そんなわけで何の成果もなしかと思いきや、「幸せってなんだろう」とじっくり考えることができたらしい。マンガつきで楽しく精神道の探検ができるので、おすすめ。



壇流クッキング

壇一雄 著
中央文庫 2001年 590円(本体)

 1975年に発行されなんと28版も重ねられている料理本の名著中の名著。料理の作り方が知りたいだけなら、他のマニュアル本の方がかいつまんで教えてくれるだろうが、この本は作ること食べることへの意欲を引き出す。季節があって食材があって、食べる自分や家族がいる。これらを満足させることは、まさに舞台監督さながらの面白さに違いない。ちなみに私は先だって壇レシピによる「大根もち」を作ったが、大変にうまかった。


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