第62回(2005年8月)

52%調子のいい旅

宮田珠己 著  旅行人
2003年 1300円

旅エッセイと、宮田氏の近況を徒然なるままにというような内容。で、宮田さんの文章って、いつも軽妙でアホらしさが光っている。それがたまらん魅力。今回もバカ笑いさせていただきました。特にサラリーマン時代の原発取材の章、らしさがキラリと光ってたわ。飲み会ではお隣に座りたい ってところですわ。


加藤シヅエ 凛として生きる〜104歳の人生が遺したもの

加藤シヅエ/加藤タキ 著 大和書房
2002年 本体1700円

本書は、加藤シヅエさんの103歳の誕生日から最晩年を綴ったもの。タキさんの巻頭言にあるように、「”生きる”、”老いる”、そして”死ぬ”ことのありのままの姿とその心の内」が、頁をめくるたびに胸に迫ってくる。「年をとることは、体の衰え、取り返しのつかない苦しみ、傲慢な気持ち、…情けないことがたくさん増える。その重みに耐えていくことは大変なこと。」これは102歳のシヅエさんが語った言葉−。誰もが避けて通れない、「老い」と「介護」の問題。シヅエさんの言葉にあるものを理解して対することが、いかに人間に大きな力を与えるかという意味でも必読の書。

ダーリンの頭ン中

小栗左多里・トニー・ラズロ 著  メディアファクトリー
2005年 950円

「ダーリンは外国人」でさんざんネタとして使われていたトニーさんが、今回は語学オタクの本領発揮で大活躍。著者の他の作品に比べると爆笑度は低いけれど、日本語と英語の比較を中心とした楽しい雑学講座といった感じ。「V」の発音は唇を噛まなくてよいなんて、学校では教えてくれなかった!


一日江戸人

杉浦日向子 著 小学館文庫
1987年 522円(税別)

 杉浦日向子さんが05年7月22日に亡くなった。江戸時代の文化を生き生きとまるで体験したことのように江戸を語れる貴重な方だった。(彼女自身、かつて江戸時代に生きていたと書いている…)
惜しい、とても惜しい。ということで、ここしばらく私は彼女の本を読んで一人でお弔いをしている。
久しぶりに読み直したがとってもいいので、皆さんにもぜひ、杉浦日向子ワールドを体験していただきたい。江戸時代ビギナーの方は、まずこの本からどうぞ。(以前紹介した「百物語」もいいですね)もしも
江戸の人たちが暗く貧しい生活を送っているとご想像なら驚かれるかもしれません。明るく能天気、単純で、昼間っからほろ酔い加減。ちなみに、江戸人はこんな真夏に働いたりしないらしいです。


大江戸観光

杉浦日向子 著 筑摩書房
1987年 1311円(税別)

 46歳で亡くなった杉浦さんは34歳の時に、早々と隠居生活に入った。この本には江戸人は現代より平均寿命が30年のび、その分人生が薄まっているような気がすると書かかれています。彼女はきっと我々の80年分は人生を楽しんだに違いない、と思うのです。あとがきの最後に「皆さん、どうか元気で長生きしてください。同時代を生きるめぐり合わせに感謝します」とあります。私は同じ言葉を返したい。「元気で長生き」はもう叶わないが…。「日向子様、江戸で遊ばせてくれてありがとうございます。同時代を生きられてよかった」。


バンコク・ヒルトンという地獄ー女囚サンドラの告白ー

サンドラ・グレゴリー 著  川島 めぐみ 訳  新潮社
2004年 1800円

 バンコク・ヒルトンと呼ばれるのは実はバンコクの女性刑務所。サンドラ(著者)は英国人。タイでの生活を楽しんでいたある日、軍事クーデターが起きて生活が一変。収入は激減した上テング熱にかかり苦境に立たされる。帰国費用欲しさから手を出した麻薬の運び屋で失敗し逮捕される。憧れの海外生活の裏にこんな落とし穴があるのかと改めて思い知らされた。一回きりの間違いでここまで過酷な人生を歩むことになるとは。


風神秘抄

荻原規子 著 
2005年 円

主人公草十郎の吹く笛には不思議な力があり、さらにカラスの王と会話ができるという異能もあわせもっている。ある日草十郎は、河原で舞い踊る少女、糸世と運命的に出会う。彼女の舞いもまた天界のトビラを開くと言う力を持っていた。二人の異能は時の上皇に利用され、二人はあげく引き裂かれるのだが…求め会う二人は再び巡り合えるのだろうか。待ってましたの荻原作品。冒険と、ファンタジーと瑞々しい恋物語で、児童書というにはもったいない!小説好きの大人をもうならせます。


新シルクロード 3 天山南路 敦煌

NHK「新シルクロード」プロジェクト 編  NHK出版
2005年


アジアの超大国中国。今では急速な経済発展を背景に世界の超大国になろうとする勢いです。シルクロードの街々も例外ではなく近代化の波が押し寄せています。しかし2千年以上も前に交易で栄えたシルクロードは厳然と存在しています。過酷な自然環境の中で、今もも息づく敦煌石窟。その頃の人々の営みが目に見えてくるようで自分もそこに立っているような気持ちにさせられる。


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