第64回(2005年12月)

私のお遍路日記〜歩いて回る四国88カ所

佐藤光代 文 浦谷さおり 絵  西日本出版社
2005年 1400円

三十代のお若い方が、2ヵ月仕事を休んで88ヶ所を回った記録。歩いて88ヶ所巡礼した達成感(?)をともに味わうことが出来ます!。それ以上に、歩き遍路ならではの人々との交流が印象的。そうなんよね、四国っていい意味で時が止まっているというか、人情や自然が豊かに残っていて、それだけで癒されるんだよね。私も歩きたい…


遥かなるケンブリッジ

藤原 正彦 著 新潮文庫
1994年 本体438円

数学者・藤原先生が、研究員として家族とともに1年間、イギリスのケンブリッジに滞在したときのお話。藤原先生の「人間観察」が冴えわたる、大学の町ケンブリッジで出会う個性豊かな人々や、ケンブリッジというイギリスの「伝統」と「歴史」が色濃く反映された大学の独特の世界など、普段触れることのないイギリスの素顔が垣間見える。淡々としながらどこかユーモラスで、人間味あふれる藤原先生の語り口がまたいい。

ショッピングの女王

中村うさぎ著 文春文庫
2001年 429円(本体)

自称「買い物依存症」のうさぎ様の真骨頂。くだらない物、無意味な物、無駄な物、インチキな物、やたら高価な物など、買いまくった浪費レポート。爆笑必至です。国民健康保険料滞納のため保険証すらもらえなかったのに、友人に頼み込まれるとキャッシングしてまでカネを貸してしまうという見栄っ張りぶり。しかし、本人がすべて自覚(自戒?)してるから、決して愚かには見えずむしろ親しみを感じてしまうんだなー。

 

生協の白石さん

白石 昌則/東京農工大の学生の皆さん 著 講談社
2005年 1000円

この本は、学生から生協への要望を、職員の白石さんが答えたやりとりをまとめたものだが、まず東京農工大の学生のお茶目な要望がいいですね。「単位がほしいんです」とか「どうしたら鈴木さんとつきあえますか?」とか「牛をおいて!」とか・・・。普通なら無視を決め込む質問に、白石さんは果敢にチャレンジします。「自分ならなんて答えようかな?」と想像するとさらに白石さんの凄さを感じます。ちなみに「白石さん」は、東京農工大の学生さんのブログでブレイクして、あれよあれよと言う間に出版となったようです。私としては、この学生さんのブログ「がんばれ、生協の白石さん!」の方がおすすめかな。


素顔のアジア

三井 昌志著 ソフトバンククリエイティブ株式会社
2005年 1600円

2004年から2005年にかけて著者が歩いたアジア。それは、戦争に翻弄された国やスマトラ沖大地震で壊滅的被害を受けた国々。アフガニスタンもイラク戦争が始まりその陰に隠れたように日本では報じられなくなり、スリランカ・インドネシアもすざましい自然災害に見舞われたけれど日本のマスコミはほとんど報じない。そんな過酷な環境の中で、人間が笑顔で生きている姿をとらえた本書は新鮮であり、改めて忘れてはいけないんだと思い知らされた。人間にとっての貧しさ豊かさの意味を改めて問いかけられている思いがした。


まいにちトースト

たかはしみき 絵と文  技術評論社
2004年 980円

84種類ものトーストがウマソーなイラストで紹介されている。ウニトーストなんていう、とんでもない贅沢メニューも載っていますが、どれもこれも手軽な感じで、試さずにはいられないラインナップ!各メニューに著者の感想や工夫がちょこちょこと書き込まれていて、それがすごく自然体でいいのです。「こげぱん」などのキャラクター原案をした人とのことで、本作りのうまさに納得。



幸福論

関野 吉晴著 長倉 洋海著
東海大学出版会 2003年 2300円

自分の国が日本である事が私にとっては幸せなのか、はたまた不幸なのかを実は真剣に考えたことはなかった。先進国といわれ清潔で便利な反面、豊かさと効率性を求めて忙しく働き続ける私たち。この本を読んで、あらためて自分の生まれ育った場所の大切さに気がついた。辺境に住む人たちの実にゆったりとした生活ぶりは、自分たちのコミュニティーの中で形成されたものと知らされた。さまざまな国の人たちの中に踏み込んだ著者の幸福論とは?


二人で紡いだ物語

米沢 富美子 著 朝日文庫
2004年 本体700円

世界的な物理学者、女性として初の日本物理学会会長と聞くと気後れするし、この本に出てくる米沢さんの人生は、仕事にも子育てにも恋にもすべてに一所懸命で、常に走り続けてこられた感がある。でも、そんな米沢さんに、不思議と人を息苦しくさせるガンバリズムを感じないのは、米沢さんが自分に正直に、本当にやりたいと思うことをやってこられたからだろう。途中大病も何度か経験されているのだが、そのことを人生の一部として、変わらず思う道を歩んでこられた姿勢にも共感できる。


なにも願わない手を合わせる

藤原 新也著 東京書籍
2003年 1800円(本体)

著者は、父、母、兄が他界するたびに四国巡りをしている。自身の中の死者への残念を浄化することこそが、死者への供養だという。遍路の途中で出会った幼女の祈りを見たとき、著者はふと「祈り」と「願い」をセットとして考える祈り(御利益を求める祈り)が卑俗であることに気づく。何も願わない祈りこそがあるべき姿ではないかという指摘は、我々にも投げかけられている。私たちが生きていく中で直面する様々な死や別れとどう向き合い受け入れていくことができるのか、ヒントを得られたように思う。



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