垣根 涼介 著 文春文庫
2004年 本体676円
ハードボイルドもなかなかどうして、ええねぇ。渋谷を舞台にアウトローな男たちとヤーさんとストリートギャングたちの壮快活劇。書き込みすぎずテンポも頃合で、垣根作品にハマリました。ニュージャンル開拓しちゃったー

角田 光代 著 文春文庫
2003年 本体505円
何気ない日常を切り取った短い文章で、独特の世界を広げてみせることのできる人(作家)というのに感心する。角田さんもそんな1人。人の一生というのは、日々の積み重ね。角田さんが巻末で言うように、日々否応なく起きる「大小のできごと」に「幸と不幸のラベルを貼りつけ」ながら、人は年を重ねてゆくんだろうなと思う。劇的な出来事に遭遇することに疲れを覚える人間には、角田ワールドは心地いい。

シルクロードおもしろ商人スクラップ浜井 幸子 著 情報センター出版局
2005年 1500円(本体)
13年シルクロードに通い続けた著者だからこそ書ける、バザール商人たちの人間模様。食べ物の店が多いが、他にも犬の毛皮売り、マッチ売り、精力剤屋(!)、ほうき売り、路上散髪屋、人力遊園地など、おもしろ商人をめいっぱい紹介している。写真とイラストがふんだんに使われていて、見て楽しめる。

G・ガルシア=マルケス 新潮文庫
本体400円
「その朝、双子の兄弟によって殺人が実行されることを町中が知っていた。ただ一人、本人を除いて・・・」 コロンビアの田舎町で実際に起こった事件を題材に書かれたこの物語は、本当に20世紀の話なのかと、その時代錯誤の殺人理由に驚かされる。殺人に至る理由があまりにも感覚とずれていて、少しの共感も湧かなかったが、ガルシア=マルケスの構成力、文章力の素晴らしさに圧倒された。まるで映画をみているようだ。ノーベル賞作家ってすごい。

たがみ ようこ 著 大和書房
2004年 本体1300円
四コマ漫画とエッセイでソウルの人々と日常を綴っている。パワフルなおばさんもさることながら、暖かな人のエピソードがたくさん書かれていて印象的。ソウル人達の激しい感じってなんだか大阪に似てる?

鵜の目鷹の目赤瀬川 原平 著 日本カメラ社
1994年 2400円(税込)
プロのカメラマンが撮った芸術的な写真を、著者ならではの観察眼と推理力をもって鑑賞というか深読みしていく。かなりの偏見や勝手な想像で論が展開していくのだけど、それがまた赤瀬川ファンにはたまらなくうれしい。アートなんて、かしこまらずにカジュアルに楽しめばいいんだよね。

井伏 鱒二 著
中公文庫 1977年 本体476円
主人公は、骨董の掘り出し物を見つけることに無常の喜びを感じ、それを商売にするようになった1人の男。途中、料理屋経営に手を出してうまくいくかに見えたが、結局は体よく放り出され、また骨董の世界に戻る。人をだしぬいたりだしぬかれたり、儲けたり損をしたり、そのたびに一喜一憂する人間くささを淡々と描写しているところに妙な味わいがある。「このところ、下痢のために少し衰弱しているのです。」という終わりの一行に脱帽。