第71回(2007年2月)

三味線ざんまい

群ようこ 著 角川書店
2005年 1200円  

 三味線を習おうなんて、粋やねえ。ところがどっこい、群さんの胃に穴でも開きそうなお稽古の日々に、こちらの気持ちまでドヨーンと重くなったり緊張したり。そんな様子ではあっても熱心な自主練や、三味線にこめる熱い思いに真面目な人柄が表れていて、群作品の人気は彼女の人柄ゆえだなあとその理由がわかった気がした。三味線の音や、お師匠さんのお稽古場にいるような臨場感溢れるお稽古日記(?)です。三味線難しそうやけど、かじってみたくなるよ。


極北の大地から−ホッキョクグマを撮る

岩合光昭 著 日本放送出版協会(NHK出版)
2003年 本体1600円 

 NHKの特集番組をもとに編集されたもので読むというより見る本。大好きなシーンがある。カナダ北東部の小さな島の短い夏、1匹のホッキョクグマが赤い花に覆われた花畑の中に現れ、その中ほどに進んだかと思うとおもむろに寝転び、そしていかにも気持ちよさそうに天空を見上げる。岩合さんのカメラはいつも、厳しい自然の中で生きる動物のふとした瞬間の表情を見事にとらえる。生きる営みを忘れ、つまらないことで悩んだり争ったりしている人間が小さく思える。

 

日本・食の歴史地図

吉川誠次 大堀恭良 著 NHK出版
2002年 680円(本体)

 伝統食って何かすごいパワーを秘めていそうで、興味がある。この本は、日本全国の絶滅寸前の伝統的な食材や料理を丁寧に取材し、文化的な背景も紹介している。今まで食べたことはもちろん聞いたこともないものがほとんどで、読んでいても味が全く想像できないものもある・・・。これだけ個性的で豊かな伝統食が地方地方に存在するとはうれしい。(とはいえ、もうすぐ本当に絶滅しそうなものもある) 「食べてみたい!」という人のために、「お取り寄せ」方法も紹介されている。


未来って何ですか
ぼくがいちばん撮りたかったもの

郡山総一郎 著 新日本出版社
2004年 1800円

 「海外なんて行った事もなかったし行こうとも思わなかった」と自身を語る著者がカメラをもつきっかけがパレスチナ難民の子供たちのテレビ映像。イスラエルの軍事力を前に投石を続ける少年の姿が著者をカメラマンへと駆り立てた。戦争・貧困・宗教・政治に翻弄され悲惨な生活を余儀なくされる子供たちがこんなにもたくさんいる現実がある。まずその事実を知る事がたいせつだと実感した。

 

アフリカ旅日記−ゴンベの森へ−

星野道夫 著 メディアファクトリー
1999年 1400円

 タンザニア、ゴンベの森でチンパンジーを保護研究をしているジェー−ン・グドールと星野が、ともにそこに住むチンパンジー達に会いに行く旅日記。ゴンベの森にいて、自らが住むアラスカの地に思いをはせ、共通する自然の中での人間のありかたを全編を通じて語りかけてくる。決して説教くさくなく、熱すぎず、わざとらしくなく、ひょうひょうと、けれど強い意志をもって。星野の文章って、生き様そのものがしっかりとベースに流れていて、それが“読ませる”ミソなんだなあ。


田口ランディの人生相談 神様はいますか?

田口ランディ 著 マガジンハウス
2002年 1200円(本体) 

 「人生相談」といいながら、問いに答える形で著者が語っているのは、自分自身だ。だからなのかもしれないが、説教じみておらず好感がもてる。だって、人生相談の回答によくみられる「正しい生き方」とか「すべての人に気配り」なんてこと、嘘くさいし実践できてる人もいないんじゃないだろうか。著者のように、正しいかどうかは別として自分は今このように考えてこんな行動をしている、と率直に表明してもらう方がずっと参考になると思う。


愛してるってどう言うの?
生きる意味を探す旅の途中で

高遠菜穂子 著 文芸社
2002年 1000円
 
 イラクの人質となった事件で当時日本中に知られた著者。賛否両論が日本を二分し激論があちこちで戦わされた。しかし私にはその当時、著者の実像が見えなかった。この作品を読んで彼女の事件以前のインド・タイ・カンボジアなどでの経験や行動力を知り、イラクの子供たちを少しでも助けようと行動したことはきっと特別なことじゃなかったんだと思った。

 


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