松宮宏 著 マガジンハウス
2006年 1500円
ごく普通の女子大生が本人も気が付かぬうちに先祖代々伝わる秘剣の使い手に成長していた。というとっぴな小説。舞台が京都で有名な地名がたくさん出てくる。ストーリー展開は破天荒だが、「京都なら実際にこんなことがおきていてもしっくりくるわね」と、変な臨場感。安い映画を見ているような、チープな設定と京都の雰囲気がミスマッチで、こんな世界も有りだな。
岡田光世 著 文春文庫
2007年 本体590円
「大都会」というと「無機質」で「人の表情がみえない」イメージがあるが、ニュー
ヨークは不思議な街だ。意外にも人と人との触れ合いが残っている。それは都会に住
む人々が抱える「寂しさ」の反動ととらえられなくもないが、今の日本はそれすら失
いつつあるように思える。ニューヨークの日常の何気ない一コマを切り取ったエッセ
イだが心に残る
東京R不動産東京R不動産 著 アスペクト
2006年 本体1400円
こんな不動産屋さんが欲しかったんです。東京R不動産が紹介するのは、今までの不動産屋さんでは、やっかいな物件として扱われてきたもの。 だから意外な間取りや奇抜なデザインのお部屋など、他にはない斬新な物件が多い。「トマソン」好きな人におすすめ。もちろん普通に素敵な物件も多数あります。Webサイトもぜひのぞいてみてね!
ロバート・ファン・ヒューリック著 和爾 桃子訳 早川書房
2003年 900円
唐時代の中国を題材にしたミステリー小説。随所に中国の古典を引用しながらもストーリーにテンポがあって登場人物も多彩。特に主人公のディー判事の名探偵振りはなかなか痛快。嵐の夜に山中の道教寺院に一夜の宿を求めたディー判事一行の前に次々と起こる怪事件。巧妙に仕組まれたトリックを見破り解決へと導く推理力は圧巻。挿絵も当時の中国の風俗を垣間見れて面白い。

岡部 昌幸(監修) 青春新書
2006年 本体750円
世界的に有名ないくつかの贋作事件の顛末を紹介しているが、びっくりするような事例もあり興味深かった。贋作を書いた本人が証拠を挙げて贋物だと証言しても、購入した美術館やお墨付きを与えた評論家が真筆だと言って譲らなかったフェルメール贋作事件、自分が譲った絵を忘れて贋作だといいはったキリコ。いやはや贋作師、評論家、そして芸術家も、タヌキばかりです。

松田 博公 著 岩波新書
2005年 本体700円
「チャングム」では鍼灸が大活躍していたが、日本では東洋医学は二流というイメージが強い。それでも、理想に燃えて鍼灸で多種多様な方法を開発しながら、西洋医学で対応できない病や不調を治療・改善してきた熱い人々がいる。近視や糖尿病までも治したというから驚く。そんな意欲的な鍼灸師を訪ね歩き、レポートしているのが本書。文章が情緒的で読みにくいが、鍼灸の可能性と魅力は伝わってくる。ぜひ行ってみたいと思える治療院がいくつもあった。
馳澤憲二 著 集英社新書
2005年 本体660円
著者は放射線科医。「がん」の治療で大事なのは、著者が後書きで述べているように
「適切な武器を適切な時期に使うこと」だと思う。放射線治療は、まさに適切な時期
に適切に使うことができれば大きな武器になりえるにもかかわらず、著者はそれがで
きずに亡くなった多くの患者さんを見てきたという。放射線治療について、患者はも
とより医師にももっと知ってほしい。そんな思いが伝わってくる本だ。