第74回(2007年8月)

沖縄オバア烈伝 オバアのあっぱれ人生指南

比嘉淳子&沖縄オバア研究会 編  双葉社
2007年 本体1400円  

シリーズ4作目。沖縄オバアのパンチの効いた言動はまさにあっぱれ。その上、今回は沖縄伝統のおまじないや言い伝えがたくさん載っていて、違った角度からも楽しめる。オバアの人生指南は、生きているのも悪くない、辛いことも楽しいことも自分次第だねーって、笑って心すっきりしました。


がんと向き合って

上野 創 著 朝日文庫
2007年 本体500円 

 著者は新聞記者。26歳で睾丸腫瘍を告知され、肺への無数の転移も分かる。手術、抗がん剤治療、2度の再発・・・。その時々の、患者の揺れ動く心の内が正直に綴られていて一気に読ませる。著者の個人的体験という枠を超えて、がん患者とその家族との関わり、がん医療のあり方などについても考えさせられる筆致は、さすが記者である。今はまた記者として慌ただしい毎日を送っておられるそうだが、著者ならではの記事をこれからも書き続けて欲しい。

 

向田邦子 暮らしの楽しみ

向田 邦子 向田 和子著 とんぼの本
2003年 本体1400円

 1981年に亡くなってからもう4半世紀が過ぎたのに、向田邦子さんに関する本は続々と発行されている。それだけ、向田さんの生活スタイルはセンスが光る。ファッション、食べ物、骨董などいつの時代も関心がもたれる分野の、今でもトップランナーなのだ。でも、彼女が類まれなる作家だったことも忘れて欲しくない。

 

アフガニスタンで考えるー国際貢献と憲法九条ー 

中村 哲 著 岩波書店
2006年 本体560円

 2002年タリバン政権が倒され、カルザイ新政権が誕生するまでは日本でも連日大きく報道されていたアフガニスタン。それ以降、日本での報道は皆無に等しい。安定に向かっていると思っていたが現実は大旱魃と治安の悪化で最悪の状態であるという。そんな中に身を置く著者が武器を持つより丸腰での貢献が必要と言う。このことから憲法九条の重みを再認識した。


マイ・ストーリー

山本 容子 著 新潮文庫
2007年 
本体400円

銅版画家山本容子さんの自伝。裕福な家庭に生まれながら、父親の散財により貧しい生活を送ることになった。しかし著者は見事に状況に適応し才能を伸ばして、芸術家としての道を歩んでいく。傍からは奔放に見えるけれども、自分のスタイルを大切にして生きてきた姿がなんとも言えずかっこいい。


倚りかからず

茨木 のり子 著 ちくま文庫
2007年 本体580円

 2006年に亡くなった、茨木のり子さんの詩集。巻末の山根基世さんの解説によれば、茨木さんは生前、詩は「生る」もので、「生る」までにかかる時間はそれぞれの詩によって違うが、「倚りかからず」は40年余りかかった、とおっしゃっていたらしい。この詩集を読んで、時間をかけなければ見えてこないもの、ってたくさんあるんだなと思った。

 

マダム小林の優雅な生活

小林 聡美 著 幻冬舎文庫
2001年 本体457円

 ドラマや映画の中での小林聡美さんは、地味だけど存在感があって大好きだったが、文章はおちゃめで悪戯好きでお人好しなお笑い系だ。三谷幸喜との愉快な夫婦関係も垣間見える。素人っぽい文章ではあるが、飾り気がなく好印象。お友だちになれそう、というか、こんな友だちいるよねってかんじ。



レンチ上海−東洋のパリを訪ねるー 

にしむらじゅんこ著 菊池 和男写真 平凡社
2006年 本体1600円

 かつてない経済成長を背景にどんどん新しいものが生まれる巨大都市上海。そんな大都市にもまだ租界が存在した時代の面影が随所に残っている。かつてのフランス租界にも当時の面影が建築物のひとつひとつ通りのあちこちにこんなにも残っていたのかと改めてびっくり。この本を片手にゆっくりとかつてのフランス租界の散策を楽しみたいものです。

 


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