西 加奈子 著 筑摩書房
2007年 1300円
小説家西加奈子の真髄やここに!っていうくらいキョー烈な個性があふれ出ているエッセー集。関西人の遺伝子に組み込まれたボケやツッコミが爆裂しています。友人なんかとドライブ中に「最近こんなおもろいことあってんで」なんてしゃべっている感覚のエッセー集。といえば全体の感じをつかんでいただけるかと。

奥田 英朗 著 文芸春秋
2002年 1238円
精神科の治療方法に「反面教師」療法でもあるのだろうか。主人公の精神科医師伊良部は精神年齢は小学生以下で、とんでもなくヘン。あまりのヘンさに、患者たちは呆れ果てているのに、なぜかみんな毎日通院し立ち直っていく。「こんな人が生きているなら自分もOK!」みないな感じ。アホはときに人を癒す。とにかく笑えます。

あなたのTシャツはどこから来たのか?
−誰も書かなかったグローバリゼーションの真実−
ピエトラ・リボリ著 雨宮 寛・今井 章子訳 東洋経済新報社
2007年 2000円
私がほとんど毎日何気なく来ているTシャツ。その一枚一枚が製品になる過程でこんなにも複雑に政治と経済が絡みあっているのかなんて想像もしなかった。私自身は安易に発展地上国が安価に作って先進国に売るという単純な経済問題としての構図しか頭に描くことができなかった。しかし実際は政治問題でアメリカと中国・途上国間の通商問題であり、様々な政治的取引の材料になっている。私が驚いたのはパキスタンがアメリカの「テロとの戦い」に同意する代償として繊維製品の規制緩和を求めたこと。Tシャツという実に身近なもので世界政治・経済・歴史が見えてくるのが実に新鮮でおもしろい。
平野 甲賀 著 SURE
2006年 1200円(本体)
著者の装丁は、様々な文字を自在にデザインしていて大好きなのだが、この本はまさに「文字を描く」ことへの著者のこだわりや思いが綴られていて、興味深い。試しにすべて異なる書体で作ってみたという「脅迫状」は逸品で、文章を読むのではなく一つ一つの文字をじっくり鑑賞する喜びを味わえる。
白洲正子著 藤森武撮影 世界文化社
1998年 本体3200円
自然の草花はあるがままで美しいと思う。人間が切ったり曲げたり造作を加えることに、時として疑問を感じることがある。でも、摘まれて器と一体となった時、また別の美しさを醸し出すことがあるのは確かだ。気ぜわしい日常のつかの間にこの本を開くと、そうした美しさの一瞬に触れることができ、その静かな世界に引き込まれる。
坂本 達 写真・文 三起商行株式会社
2006年 1200円
4年3ヶ月の有給休暇をもらって自転車で世界一周をした著者が今度はギニアで井戸を掘った。自転車世界一周で出会った様々な国と人々。日常のふれあいが読んでいてとても心地よい。そのつながりの中から生まれた井戸掘りプロジェクト。ひとつ井戸を掘るということが実は大変な作業であり、その上ギニアの人々自身で維持管理してゆける体制を作ることまでしないと意味がない。常に前向きで人とのつながりを大切にすることで難関を乗り切った著者の井戸掘り物語。
早坂 隆 著 現代書館
2003年 1800円
マンホールで暮らすホームレスたち。少年少女から青年までの年若い人が多く、他人事ながら将来どうなってしまうんだろうと考えてしまう。そこで家庭を持って育児をしていたりするからたくましいというかなんというか。チャウシェスク政権の負の遺産であることは確かだが、彼亡き後も依然としてマンホールで暮らす人たちは存在しており、民族的で根本的な理由も根強くある。這い上がってやるって思えよ!