第81回(2008年9月)

ワセダ三畳青春記

高野秀行 著 集英社
2003年 552円(本体)  

 未確認生物探検家?の高野氏が大学4年生から11年間下宿していた野々村荘。そこはバブルの盛衰からも隔絶された、木造のおんぼろ下宿で、住人も個性派ぞろい。次々と起こる事件も、大学時代から社会人としての自己を探り始める切な〜い時代のできごとも、ズバリ“青春記”です。


木に学べ

西岡 常一 著 小学館ライブラリー
1991年 740円(本体)

 法隆寺にはかつて専属の宮大工がいた。その最後の棟梁西岡氏が代々受け継いできた技や知恵を聞き書きした記録。この本を読むと千年前の人たちの技術の素晴らしさがひしひしと伝わってくる。重機を使って建築物を建てる現代よりも昔の人たちの方がが何倍も仕事が速く、また美しく仕上げられたのはなぜだろうか。法隆寺や薬師寺について書かれた建築の本だが、日本の行く末を問われているようだ。


大貧帳

内田 百間 著
ちくま文庫 2003年 1000円(本体)

 借金をライフスタイルにしていた百けん先生自らが、貧乏生活の仕組みと意義と実際について語っている。他の随筆と同様に、秀逸な屁理屈のオンパレード。「自分が汗水たらして儲からず、及ち他人の汗水たらして儲けた金を借金する。その時、始めてお金の有難味に味到する。だから願わくは、同じ借金するにしても、お金持からではなく、仲間の貧乏人から拝借したいものである」ってねえ、こんな友人がいたら大変だよ。

 

寺暮らし

森 まゆみ 著  集英社文庫
2006年 本体552円

 お寺の境内にあるマンションで暮らすことになった著者と子どもたち。この本を読むと、忘れていた子どもの頃の風景や音や匂いが不思議と蘇る。日々暮らす住まいや町がどのようであるかというのは結構人の心持に影響を与えるもの。一見無駄とも思えるような空間や時間、ちょっとした人との触れ合いが人間には必要なんだよなと思う。

 

自殺のコスト

雨宮 処凛 著 太田出版
2002年 1200円(本体)

 まずは自殺方法別の葬儀にまつわるしがらみや死体処理の経費について知っておきましょう。というところから始まり、事例を挙げて失敗した際の経済的な問題や、保険金給付の実態を詳細に列挙。その上で各種自殺法毎(もちろん実例を挙げて)の実行のための経費を紹介しましょうという構成。「自殺しても得にはナランデ」といっているのか、ヤルナラ完全を目指せといっているのか。前者…ですよね、雨宮さん。


日本語の美

ドナルド・キーン 著 中公文庫
2000
年 本体552円

 外国の人が日本や日本人をどう見ているか−考えてみれば我々はどこかでステレオタイプの感想を「期待」しているところがある。日本語を巧みに操る人ほど、いつまでも埋まらない「外国人」の自分と「日本人」の溝の深さに落胆や失望を覚えるものらしく、そう感じさせる日本が何だかもどかしい。「外国人」としてではなく、ドナルド・キーンという一人の人の個性が文章に隅々にまで溶け込んでいるからこそ見えてくる日本の姿がある


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