第1回

 

 

 

ザ・ギバー 記憶を伝える者

ロイス・ローリー著 掛川 恭子 訳
講談社 1995年 1400円

今年の読書感想文コンクールの高校の部の課題図書。表紙は白髭の老人の顔のどアップモノクロ写真。その写真といい、ザ・ギバーというタイトルといい、手に取るのがこわいような本。でも、読んだ人はきっとのめり込んで行ったはず。理想の社会って何? 家族って? いろいろ考えてしまう。だけど結末がもの悲しい

 

独りだけのウィルダーネス

リチャード・プローンネク著  サム・キース編 吉川俊二訳
東京創元社 1988年 2900円

アラスカの原野で暮らした男の16カ月の日記。森での暮らしが詳細に記されている。野生動物の生態と、ログハウス建築の手順が興味深い。この本を開くとき、充実したアラスカでの生活がひとときだけあなたのものになるはず。労働が自分のためだけにあるって、うらやましい。

 

イルカと、海へ還る日

ジャック・マイヨール著
講談社 1800円 1993年

数年前にブームとなった映画「グラン・ブルー」のモデルジャック・マイヨールの本。1976年、ジャック・マイヨールは、素潜りで水深100メートルの記録を達成する。それまで、人間の素潜りの最大潜水深度は40メートルが生理学上の常識だった。人間が自らの肉体、精神に忠実に生きるということを考えさせられる本。

 

ASIAN JAPANESE

小林 紀晴 文・写真
情報センター出版局 1400円 1996年

日本人たちは何を求めてアジアに向かうのか。著者のアジアを旅している時に出会った日本人たちの写真と文章はそれぞれの人たちの生き方・考え方も含めた形で読み手に強く迫ってくるものがあると思います。日本という経済大国の中で便利な反面、管理された社会に住む私には彼らのひょうひょうとした暮らしぶりがより人間らしく思えてなりません。

メメント・モリ

藤原新也  文・写真
情報センター出版局 1996年新装版 1250円
 

本書は著者が今まで旅した地の写真に短い言葉が添えられている。写真集としても楽しめるが、添えられた言葉はとても啓示的だ。たとえば犬が死体を(もちろんヒトの!)食べている写真とともに「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」というように。死をテーマにした本だが読んでいると気持が安らぐ。なんだか、人生の後の死がやさしい、うれしいご褒美であるかのようにさえ感じてしまうから不思議だ。「メメント・モリ 死を想え」。

 

嵐の大地パタゴニア 
グレートジャーニー人類5万キロの旅

関野 吉晴 文・写真
小峰書店  1995年 1300円

年の読書感想文コンクールの小学校高学年の部の課題図書。課題図書と言えば戦争物か福祉物が定番。ところがこれは冒険物。今の小学生はいいなあ500万年かけて人類が世界中に移動した5万キロの道程を、著者は脚力と腕力だけでたどろうとしている。恐ろしくも美しいパタゴニア。今頃はアラスカあたりを北上中でしょうか?

 

葬式 あの世への民俗

須藤 功  文・写真
青弓社1996年 2060円

 葬儀屋さんが葬式をしきっている現代、昔からの葬式習慣を知るのは難しい。この本は各地方のお葬式を写真と共に綴る貴重な記録だ。お葬式は事前に予定がわからないので取材するのは大変らしい。現代の葬式の習慣と全く違っていて私が驚いたのは、喪服は白が正式だということ。でもるりちゃんの田舎では今でも近親者は白装束を着るんだって。葬式は地域文化ですね。みなさんの地方のお葬式はどんな感じでしょうか。

 

「在外日本人」

柳原 和子 著
晶文社2900円 1994年

海外に暮らす108人の日本人を著者が40カ国65都市を訪れて、一人ひとりインタビューしたノンフィクション。様々な理由から日本を離れた人々の生の声が伝わってくる。海外で成功した人日本を追われた人帰りたくても帰れない人、様々な人が世界中に住んでいる現実を改めて思い知らされた一冊です。

「アジア定住」

野村 進 著
めこん 1545円 1996年
 
この本にはアジア11カ国で暮らす18人の日本人が登場する。アジアのそれぞれ住む国に生活基盤を持つ人たち一人一人の生き方を通して゛日本以外の国で暮らすこと″が見えてくると思います。アジアに興味のある人、住んでみたい人には、おすすめの一冊です。

 

タオ(TAO)-ヒア・ナウ-

加島 祥造 訳 
PARCO出版  1980円 1993年
 

「上善ハ水ノゴトシ」- お酒の好きな人なら、一度は耳にしたことのある言葉。これは、ほかでもない老子の言葉である。この本は、英文の老子を和訳したもので、幾人かのフィルターで濾過された老子が書かれている。この本を入口に、原文を自分のフィルターに通してみるのもいい。心を穏やかにしたい時に、お勧めの本。


地の果てに住む

リチャード・リオ著 野田知佑訳
飛鳥新社 1994年 1600円

現代社会から抜け出して、アラスカ生きてゆけたら。そんなことを夢みても、実現させようなどとは普通は考えないだろう。現実的な問題を考えたら一気に興醒めしてしまう。それでも、アラスカ生活を選んだ男の生きざまを読むにつれ、ますますその地への思いが熱くなった。失うもの無しに実現できる夢なんてないのかなぁ。

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