第19回 

脳死

立花 隆著 中公文庫 
1988年 本体932円 

脳死法が制定され、今年になって3件も脳死からの移植が行われた。この先はニュースにもならないくらいに移植が増えていくと思われる。しかし、現在の「脳死」の判定基準にはかなり問題があるのではないだろうか。この本を読んで、判定基準づくりのいい加減さに驚いてしまった。まさに移植をしたいがための「脳死づくり」という感じがしてならない。「脳死」が人の死であることに私も異論はない。しかし、「何をもって『脳死』というのか」という肝心な部分に、未だ共通のコンセンサスが得られてはいない。こんな状態で「脳死」を経験的(臨床的)に決められたら、たまらないなあ。科学の入門書として読んでも面白い。

 

看護婦が見つめた人間が死ぬということ

宮子あずさ著 講談社文庫
1998年 本体495円 

「死に方で生き方を評価してはならない」ということばに深く納得させられた。この本には看護婦の著者の印象に残っている20人の死が取りあげれられている。「平凡な人生」とはよくいうが、「平凡な死」というのはないのではないだろうか。どんな「死」にもドラマがある

 

ウィーンの密使 フランス革命秘話

藤本ひとみ著 講談社文庫
1999年 本体800円

パリ市民の暴動、歴史の軸が大きく回転しようとする中で、様々な思惑を背景に、革命を回避し、王家の生き残りをはかるためウィーンからフランス王妃マリー・アントワネットのもとに遣わされた青年士官ルーカス。刻々と移り変わる情勢、勢力を機敏に読みながら、時に自らの良心と対峙しつつも、使命を貫こうとする。多数の登場人物を巧みに交錯させながらテンポよく進める筆致は見事。

 

「レッド・ドラゴン」上・下 

トマス・ハリス著 小倉多加志訳 早川文庫
1989年 各本体520円

一家惨殺事件が連続して起き、元FBI捜査官が犯人像を推理していく。「羊たちの沈黙」の著者がここで初めてレクター博士を登場させている。現場を検分するうちに、捜査官は知らず知らずのうちに犯罪者の心理に共鳴し、精神的混乱におちいっていく。殺人そのものよりも、ここが一番の恐怖を覚えるところ。正常と異常の境界線ってどこにあるのだろう。

 

聡明な女は料理がうまい

桐島洋子著 文春文庫
1990年 本体408円

タイトルがそもそも喧嘩を売っている。しかし、こう言われて料理が下手とも言いづらい。1976年にベストセラーになっていたらしい。以前読んでこのたび読み返したが、やはりおもしろい。文章がすっきりして歯切れがいいし、なによりも無精者の私でも料理意欲がわき上がってくるのだから。男女を問わずお薦め。

 

老後をアジアリゾートで暮らす

戸田智弘著 双葉社
1998年 本体1500円

漠然と「老後は海外で」と思っている人はけっこういると思いますが、いかがでしょうか?(実は私もそのひとりです。老後といわず今すぐにでも行きたいと思っていますが現実は厳しいです。)実際この本に紹介されている方々の生活ぶりを読んでいると、確かにすばらしい暮らしぶりだなぁと思う反面、違った国で生活するための様々な努力も経済的な自立も自分で獲得しなければいけない厳しさを実感しました。やがて日本の人たちがいろんな国で充実した生活を営むことができるようになったらそれこそが国際化なんだなぁと思います。

 

中国路地裏物語

上村幸治著 岩波新書
1999年 本体660円

中国は他のアジアの国に比べると遙かに大国である、政治的にも経済的にも大きな力を持っている。しかし、普通の私たちにはやっぱりちょっと近寄りがたい雰囲気があって、ちょっとふらっと旅に出るという感覚は持ちにくい。この本はそんな私にも中国で普通に暮らしている人々の姿とともに、共産主義を堅持しつつ市場経済をとり入れている現代中国の様子が少しではあるが理解できました。現代中国をわかりやすい文章で知ることのできる1冊としておすすめです。

 

アルジャーノンに花束を

ダニエル・キイス著 早川書房
1989年 本体1456円

知能指数の低い青年が手術によって天才になるんだけどそれによって社会的なしがらみなんかを知って・・・。こういうSFもあるんだねぇ。なんか人としての価値や、いろんなこと知るってことについて考えてしまった。高校生の夏の課題になることもあるみたいだけどやつらも感じるとこあるんだろうか。

 

母と神童 五嶋節物語

奥田昭則著 小学館
1998年 本体1600円

ご存知天才ヴァイオリニスト五嶋みどりの母の半生。やっぱしトンビからタカは生まれまへんわ。節自身音楽のセンスを持つからこそ、我が子の才能を伸ばすことができた。世のママゴンたちは熱心なだけじゃだめなんよ。まずはおのれの才能ってやつを考えな。

 

このページのトップに戻る   フロントへ