第21回 

アジア新しい物語

野村 進著 文芸春秋
1999年 1667円

 この本に登場する日本人は、完全に今いる地に骨を埋める覚悟というわけではなく、かといってあそびごころで滞在してるわけでもない。自分の可能性を少しでもよりよく発揮できる場所がアジアだったという人たちのような気する。アジアにこだわるよりも、また今以上に自分の能力が発揮できる場がほかに出来れば、そっちに移ってかんばれる、そんな柔軟さとがんばりと能力今の私には、真似できないけどせめて会っていろんな話を聞けたらそれだけでも、すばらしいだろうなと思います。

 

火焔樹の花ーベトナム・ストリート・チルドレン物語ー

小山 道夫著 小学館
1999年 1200円

 国際交流や国際援助という活字は今では目にしない日はないくらいさまざま機会に見聞きする。しかし日本或いは日本人の援助はとかくお金を出すという行為そのものであることが多い。もちろん、それも大切なことではある。しかし、顔の見える援助を、仕事を辞め家庭を日本に残して、6年間継続してきた著者の記録は、人が人を援助することの難しさを改めて痛感させてくれる。
 ベトナムという私たちとは違った価値観、政治体制、歴史を持つ国の底辺でたくましく生きている子供たち、一人でも多くの子供たちが幸せに生きていけるための道筋をつけるためこれからも是非継続してほしい国際援助である。

 

内灘夫人 

五木寛之 著 新潮文庫 
1972年 520円

学生運動の全盛期に青春を送った女性の苦悩を描く。少し引っかかるのは、青春の輝きから脱皮できない中年女性という設定。だって、主人公はまだ33才!なんだから。書かれた時代には十分中年と言えたんだろうけど。人生に情熱を求めるが叶えられず刹那的快楽に耽る主人公が、痛々しくもあり同時にもどかしい。今の社会で燃えながら生き続けるってことは、ホントに難しい。

 

国家・宗教・日本人

司馬遼太郎・井上ひさし 著 講談社文庫 
1999年 本体467円

言うまでもなく、二人とも日本語が洗練されていて、対談をしていても無駄がない。視座がしっかりしているというのは、こういうことなんだなと思う。特に宗教を論じているところがおもしろい。オウムからザビエルまでと幅広い。ただし、対談という形式上さらっと流されている部分もあって、もっと詳しく聞きたいのに!と消化不良の感あり。学生時代にこんな人々の講義を聴いたら人生観が変わってたかな?

 

アラスカ光と風

星野 道夫 著 福音館書店
1995年 本体1400円

今は無き写真家星野道夫氏がアラスカに惹かれていった原点を知ることができる。7章からなり星野氏のアラスカへの思いがそれぞれのエピソ-ドからあふれ出している。ああまたアラスカいきたくなったやんか。

 

たのしい社会科旅行

泉 麻人 著  新著社
1999年 1300円

泉麻人はよい人です。社会科で勉強したこっとて今思うとおもしろいことが多かったんだなあと思わせてくれるからです。でもおとなになって体験すれば納得がいくというもので・・・。大阪の真ん中が平野なんてこと自転車で走ればなにもわざわざ勉強しなくてもねえ。

 

 

器つれづれ

世界文化社  白洲 正子
1999年 2400円(本体)

「物にこだわらない生き方」に憧れるが、私は美しいものが大好き。特に「用の美」に心惹かれる。この本には白洲さんが大切にしていた、美しい骨董の器があふれている。私たちの祖先はなんと美に敏感だったのか。どんな人が作って、誰に愛されてきたのか、その器しかしらない物語があるんだろうな。私も、私も・・・・一つでいいから、欲しい、所有したい!

 

最後は思いのままに!

講談社 佐橋 慶女
1998年 1500円(本体)

 この本は10人の「400字の遺言」とその後の人生がまとめられている。「遺言」というから財産やお墓、葬式についての意志が書かれているのかと思ったけど、それだけでなくその人の生き方が記されている。 著者は33歳の時にはじめて遺言を書いたそうだ。その歳を少しだけ上回る私も、自分の人生をはっきりさせるためにそろそろ書くべきなのかもしれない。

 

ソウルメイト 魂の伴侶

ブライアン・L・ワイス著 山川紘矢・亜希子訳 PHP文庫
1999年 本体619円

精神科医である著者によれば、人には、生まれ変わるたびに何らかの形で巡り会う「魂の伴侶(ソウルメイト)」というものがあるらしい。「前世療法」、「前世療法2」を読んだ者にとっては、とりたてて目新しいことは書かれていないが、今の自分の記憶や知覚等だけでなく、人との巡り会いが、「過去世」とつながっているのかもしれないと考えることは、一つの仮定として面白い。

 

僕はいかにして指揮者になったのか

佐渡 裕著 はまの出版
1995年 本体1500円

 著者は、指揮台のうえで音楽に合わせてまるで踊っているように指揮をする。「とにかくその音が欲しいがために、また引き出したいがために、そうしている」という。「人にどうみられるかということより、自分の音楽を表現しようとすると、自然とそうなる」という。自分の感情に素直になるということをつい忘れがちの日常で、著者の演奏会が心に響くのは、そんな思いが伝わってくるからだと思う。もっともっと生の音楽に触れたい、そう思う一冊だ。

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