第22回

堀田 あきお著 旅行人
1999年 上 本体1500円 下 本体1400円
アニメで読める本って今までになかったなと思いつつ、手にとってみたら、これが面白くて上下2冊あっという間に読んでしまいました。ノンフィクションの作品とは違い、ストーリーの持つ面白さがあります。一人の脱サラ青年が、まったく経験のないアジア一人旅に挑戦するなかで出会う、様々な事件、人々。活字ではなく、アニメで見るとよりアジア世界が身近に思える気がします。きっと自分も、アジアにはまってしまうかなと思ってしまいますよ。

アルフレッド・ランシング著 新潮社
1998年 本体2200円
アムンゼン、スコットらの南極探検華やかなりしころ実際に起こった出来事。探検なかばで凍りの海に航路を断たれた、エンデユアランス号の乗組員。その全員が生還を遂げるまでをえがいたもの。氷点下の南極での遭難を、誰しもが未知の体験を楽しんでいるように描かれている。そのためか、遭難物にありがちな暗さがないのがよい。写真家の星野道夫が、撮影のためマッキンリーにこもった時に愛読したノンフィクションドキュメンタリー。
もんくなしで、今年の必読図書ナンバーワン。今世紀初頭に行われた南極探検隊の記録が乗組員の日記などをもとに詳細に著されている。イギリスの名誉をかけて派遣された探検隊は、想像を絶する苦難と闘うこととなった。とりわけ、流氷に閉じこめられて船を放棄してからの苦闘がすさまじい。ノンフィクションでありながら、次へ次へと読み急がずにはいられない。極限状態での人間の生命力と精神力ってすごいわ、ほんとに。隊長の統率力にもまいった。挫けそうな気持ちのときに特におすすめ。元気がでるよ。

今日の芸術 岡本太郎著 光文社文庫
1999年 本体495円
岡本太郎はもしかして偉大な人物ではないかと思っていたが、本当にそうだった。45年も前に書かれたものだが、その内容は新しい時代を切り開いていく気概に満ちていて、今読んでも十分前衛的。旧態依然の日本の芸術をこてんぱんに批判して、独創がいかに大切かを説く。とにかくぐいぐい攻めていっている。この本に影響されて多くの芸術家が生まれていったというのもうなずける。わたしもその一人になってみようか、なんていう気にさせられる。

若一光司著 幻冬舎アウトロー文庫
1999年 本体648円
20世紀の著名人23人の自殺に至る詳しい経緯と121人の略歴が記されている。自殺以外で唯一とりあげられていた、マリリン・モンローの生と死の真相にわたしは驚いた。なんていう人生だろう。美しすぎたために、不幸になったような人。誰でもマリリンは自殺したと思っていただろう。ところが真相は、ケネディ一家とその政敵の陰謀の渦にまきこまれて、あわれにも抹殺されていたのだ。20世紀は、人生が複雑になり大量の自殺者がでた時代だ。21世紀になり自殺者は更に増えていくのでしょうか。

篠田節子著 文春文庫
1999年 本体514円
市の福祉事務所に勤めるケースワーカーの仕事を題材にした「小説」集である。ケースワーカーたちにも「生活」がありその連続したところに「仕事」がある、そのうえでの彼らの日々の葛藤や模索が取り上げられているところが新鮮で、題材を超えて、人と人の関わり、人間の「弱さ」や「強かさ」について考えさせられた。

久保 優子著 トラベルジャーナル
1997年 本体1500円
シンガポールって、国全体がクリーンで、緑いっぱいで、治安も東京よりもよいと言われている。アジアの中では、優等生って言う感じがするのですが、旅に出るにはちょっと敬遠してしまう私です。しかし、そこで生活するとなると話は別です。特に興味深いのは、著者の日本と日本人について書いているところです。駐在で早く帰ることしか考えない日本人が多いが、そんな中でもシンガポールに根をおろす人もいる。著者の「海外に根をおろした日本人は驚くほど柔軟である。」という言葉が印象的で、とかく群れたがるとか主体性に欠けるとか言われる中で、そんな風な見方もあるのかと、気が付きました。

鶴見 済 太田出版
1993年 本体1165円
この本が青少年に悪影響を及ぼすとかいう理由で、存続の危機にさらされているようだ。しかし子どもがよく言う「好きで生まれてきたんじゃない。死んで何が悪い」という問いに明確に応えられる人以外、この本を非難することはできない。死ぬよりツライことってあるものだ。 耐えられなかったら死んだっていい。この本は「完全に死ねる」方法を記した人生の案内書ともいえる。間違いなく世紀末の名著のひとつ。末永く存続することを望みます!

岡本敏子編著 小学館文庫
1999年 本体514円
この本は、はじまりは秘書として、後に養女として、岡本太郎を約50年の間見つめ続けた著者が、彼がはき出した言葉を軸に、その人となりを語ったものである。突飛な発言や身振りから勝手にイメージしていたのとは違う、生身の岡本太郎が垣間見える。万博公園のふきっさらしの中に、古ぼけて建っている「太陽の塔」の背中にも何だか愛着が湧いてきた。